週末ファーマーによる自然農の野菜栽培

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自然農の野菜づくり

第1章 生命の営みをつなぐ自然農の要諦(畑の準備をする、野菜を切らさない作付けの工夫 ほか)
第2章 自然農の野菜・つくり方のポイント
第3章 自然農の野菜などの加工・保存の工夫


自然農・栽培の手引き
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 川口由一氏の提唱する"自然農"を理想として、耕起せず、肥料はやらず、雑草は抜かず、害虫をも防除しない(化学農薬も自然農薬も不使用)で、野菜を育てることを目指しています。多種類の豊富な動植物と共存する生物多様性を実現する家庭菜園にするべく、群馬県西部で週末に農作業をしています。ビニールのマルチやトンネルなどの非再生資材は使わず、農業機械も使わずエコロジーです。ただ、地力不足なので、有機質肥料を少し与えることもあります。


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自然農法関連の本
 自然農法(自然栽培、自然農など)関連の本を一覧にしました。
●福岡正信氏関連
自然農法 わら一本の革命、福岡正信、1975
読んだ感想
無 自然農法、福岡正信、1985

●岡田茂吉氏関連
自然農法の野菜つくり - 無農薬・無化学肥料の実際、自然農法国際研究開発センター、1990
自然農法への転換技術、宇田川 武俊 著 全国MOA自然農法産地支部連合会 編集、1998
自然農法を始めました、村田 知章、2003
自然の野菜は腐らない、河名秀郎、2009
読んだ感想
雑草が大地を救い食べものを育てる片野 學 著、2010年発行
土にいのちと愛ありて、島 一春、1988
自然農法私考 広江美之助 著 1976年
 現代生物論、農業生物学、栽培植物に関する古文献などを学術的に述べ、農業に関する凡ゆる勉強をした上で自然農法に到達するという著者の主張。自然農法による栽培方法を具体的に解説したものではなく、自然農法の重要性を述べている。

●川口由一氏関連
妙なる畑に立ちて、川口 由一、1990
自然農 川口由一の世界 耕さず、肥料、農薬を用いず、草や虫を敵とせず…、川口 由一、鳥山 敏子、2000
自然農・栽培の手引き、鏡山悦子 著 川口由一 監修、2007
読んだ感想
自然農への道、川口 由一 編集、2005
自然農を長く続け、指導もしている8軒の自然農実践者の取り組みを具体的に紹介している
読んだ感想
自然農に生きる人たち - 耕さなくてもいいんだよ、新井 由己 写真・文、2008
読んだ感想

●木村秋則氏関連
リンゴが教えてくれたこと、木村 秋則、2009
「自然栽培ひとすじに」の2年後の本であり、その間の活動などが加えられており、また、自然栽培についてもより詳しく具体的に書かれている。日本経済新聞社の記者に送った1995年のFAX文も記載されており、それを読むと熱い思いは今と変わらず、ずっと持ち続けて自然栽培の普及の取り組んでいることが分かる。
読んだ感想
奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録、石川 拓治 著 NHK プロフェッショナル仕事の流儀制作班、2008
読んだ感想
自然栽培ひとすじに、木村 秋則、2007
読んだ感想

●その他
ニンジンの奇跡 - 畑で学んだ病気にならない生き方、赤峰勝人、2009


土にいのちと愛ありて


土にいのちと愛ありて 島 一春 著、1988年発行

 本書は、農薬と化学肥料が推奨されていた昭和30年代から手探りで自然農法を始めた須賀一男・サカエさん夫妻の26年間の記録を著者がいきいきとした情景で記されている。幾多の困難を夫婦の愛の力、たゆまぬ自然の観察力、周囲の人の支えで乗り越えてきたその様子と幸せな家庭を築いてきた現在の姿に私は、なんて素晴らしい、生きる幸せの意味を考えさせてくれた。
 自然農法に切り換えて1年目は村の平均収量より多かった、2年目はやや収獲は落ちた。しかし、3年目は養分不足で水稲も野菜も満足に育たず、以後、自然をつぶさに観察しながら困難な時期が続いたが、6年目から次第に回復し、10年経って収穫物の大きさは他家並みになったが収量は低迷した。わら、落ち葉、ほだ木を材料にした完熟たい肥を何度も研究を重ねて、まさに"生きている土"となってからは収量が安定したという。

本書で私が自然農法のヒントになると感じたこと。
・糞尿が落ちたあとの草は、濃い緑色になるのだが、牛は食べようとしない(p.109)
・里芋の土寄せをする時に、落ち葉が土の中に入ってしまうとアブラムシが出る(p.139)
・土堤の数本の菊のうち、根が畑に伸びてきた1本だけにアブラ虫がつく(p.139)
・野積み完熟した堆肥の味は自然の土と同じ、香ばしい味(p.152)
・土壌生物は直射日光と乾燥をきらうので、曇天の日あるいは夕方に堆肥を田畑に入れる(p.154)
・畑の場合、二毛地帯では十アールに二トンぐらいの量の堆肥が必要なのではないか(p.210)
・完熟した堆肥を土に混入し、その上に未完熟の堆肥を薄くおいて、さらにその上に稲藁や刈り草を敷いておく。こうすると、自然の土壌のように落ち葉、その下に腐葉層、そして腐食層と三つの層を畑に再現したことになる。直射日光の遮断、土の水分・温度・酸素保持になる。敷草によって、雑草は生えなくなる(p.211)

 十アールに二トンの堆肥とは、年間に入れる量ではなくて、畑が保持している量のことを言っていると思われる。
 刈り草を敷くことは、川口氏の自然農では常に土を裸にしないようにとして行われている。表層に集中して堆肥のような植物質を入れることは、炭素循環農法でも行われている。

本書に登場する自然農法関連の主な出来事
昭和8年  須賀一男氏は農家の8代目として生まれた
昭和23年 須賀氏は15歳で父を手伝い農業を開始した
昭和30年 設楽サカエさんと結婚する
昭和32年 須賀氏は世界救世教の自然農法普及会の指導も受けながら自然農法を開始した
昭和41年 農林省 有機水銀系農薬を非水銀系農薬に切り換えるよう通達
昭和44年 農薬パラチオン製造禁止
昭和46年 須賀氏はついに畑の全面積を自然農法に切り換えることができた
昭和47年 農薬DDTとBHC製造禁止
昭和47年 自然農法の野菜を流通させる「みつる商事」発足し、須賀氏も出荷した。
昭和49年 自然農法の作物を集荷販売する全国組織のMOA商事(当時はMGCと呼ばれていた)設立
昭和49年 須賀氏は有吉佐和子の取材を受ける
昭和50年 朝日新聞に連載された有吉佐和子の「複合汚染」に須賀氏も実名で登場
昭和57年 自然農法国際総合開発センターの大仁農場が開設された
昭和59年 須賀氏の自然農法の姿を記録した映画「生きている土」が上映となった
昭和63年 自然農法国際総合センターでは1万5千余戸もの農家が自然農法を実施している

2010年 農林水産省の広報誌aff2月号で、須賀一男氏と息子の利治氏は「日本の篤農家」として紹介された

自然農法の野菜つくり - 無農薬・無化学肥料の実際


自然農法国際研究開発センター 編集、1990年出版

 本書は、岡田茂吉氏の提唱した自然農法について、自然農法国際研究開発センターがとりまとめた「自然農法技術普及要綱」の紹介と事例として8軒の農家の栽培方法を各10ページ程度で紹介している。
 自然農法の定義は、要綱第一条に「岡田茂吉師の創唱による、永続的かつ体系的な農業生産方式をいう」。自然農法の基本技術は、要綱第4条から抜粋すれば「輪作・前後作や、緑肥・堆肥、養分含有の天然資材等の適切な使用により、地力の維持増進を図り、また、共営作物、天敵等の利用を含め生態的方法を基本にした病虫害及び雑草の対策を行うことができる。自然農法では、科学的に合成された肥料、農薬、生長調整剤、飼料添加物等を使用せず、また、人糞尿や完熟していない家畜排泄物は施用しない」。
 具体的な栽培技術は様々であり、紹介されている農家の土づくりの考え方もさまざまである。
・堆肥を投入して単作目を連作(裏作の組み合わせに工夫する)
・輪作(マメ科や赤クローバーを入れる)
・堆肥投入と輪作の組み合わせ
・敷き草とそのすき込みで連作(すき込みは浅くする)
[2009/12記]

自然農法への転換技術


宇田川 武俊 著, 全国MOA自然農法産地支部連合会 編集、1998年
 この本での「自然農法」とは、岡田茂吉氏の思想哲学にもとづく「MOA自然農法」のことであり、編集は「全国MOA自然農法産地支部連合会」である。
 この本を読んだ限りでは、MOA自然農法は、堆肥の投入による土作りを大切にしたいわゆる有機農法のような感じを受けた。生き物達との共生を積極的には推進しておらず、雑草は抑制すべきとして耕種的方法を奨励している。農業機械による耕起もするし、マルチフィルムなどの農業資材も使う。
 有機農業の本として読むならば、客観的に書かれているようだし、科学的根拠も記載されているので参考になると思う。
 MOA自然農法の実践例が多数記載されているが、販売先は多くがMOAであり、MOAなしには成り立たないのかとも感じた。
 江戸時代の水田では、地力維持のために、山林から草木の葉を集める「刈り敷き」と呼ばれる方法がなされ、刈り敷きを得るための林地の面積はどんなに少なく見積もっても水田と同等以上で、多い場合は10倍だったという。また武蔵野台地の畑では、畑と採草地の割合はほぼ6対4であったという。江戸時代でも外からの養分の持ち込みを積極的にしていたことが分かった。

自然農法を始めました


村田 知章、2003年発行
著者は、自然農法国際研究開発センターで研修を受けてから、茨城県で農業を始めて3年。

日本の自然農法


日本の自然農法 来米 速水(くるめ はやみ) 編集、1983年発行
 書題の自然農法とは、化学肥料と農薬(除草剤も含む)を使用しない農法(自然農法、有機農法、生態系農法、生物学的農法、再生的農法など)のことを適当な名前がないので、代表させて自然農法としたのだという。その理由は、1.昭和25年に自然農法が発表され有機農法に大きな影響を及ぼしたこと、2.有機農法という言葉の定義は曖昧であり低毒性農薬を使用する人達が大勢含まれていること、3.厩肥を使用すれば害虫が発生するので、果して無農薬が可能か疑問であること、4.堆肥は化学肥料の代わりに過ぎず近代農法の延長に過ぎないこと、5.有機農業実施者の中には、実質的にみて自然農法実施者が大変多いことという。なお、本書では自然農法を広義では書題のように新農法全般のことを指すが、狭義では岡田氏の自然農法のことを指している。
 本書は、自然農法に興味を持つ消費者や農家の参考とするための事例集にしたとのことである。大学教員と大学院生の7名が調査・執筆したので、用語は統一されていないという。また、事例のほとんどは、MOA商事を出荷先とする岡田茂吉氏系の自然農法であるが、日本有機農業研究会や生活協同組合等も協力しているという。岡田氏系の自然農法を実施している農家は、この当時で数千戸もあったことから岡田氏系の事例ばかりが紹介されるのも無理からぬことであろう。
 各農家の事例ばかりでなく、自然農法の栽培や販売についての状況、自然農法や有機農業の歴史、自然食品の流通機構もまとめられており、当時の様子がよく分かる。

・米作 名前 所在地 販売先 肥料 開始年 反収量
今野義右衛門 秋田県 MOA 籾ガラ草堆肥 S24 一般の8割
平野耕治 岩手県 MOA 稲ワラ草ヌカ堆肥 S45 当初3俵→7俵
佐々木昭吉 宮城県 MOA 稲ワラ堆肥 6.5-7.5俵
高島正一 山形県 MOA 稲ワラ草ヌカ堆肥 S52 有肥農家より収量多い ササニシキ8-9俵 キヨニシキ11-12俵
森敏松 石川県 MOA S25-31無肥料で4俵 S32-38レンゲ緑肥だと倒伏が出た S39イタリアン緑肥 倒伏しないがメタン発生 S52 稲ワラと野菜クズをそのまま散布でメタンなくなり7.5俵(有肥より0.5俵少ないだけ)
置田敏雄 富山県 MOA S24 田畑輪換 ワラ散布 コシヒカリ8.5俵(有肥と同収量)
網川龍雄 栃木県 MOA S28 田畑輪換 ワラ落葉堆肥 有肥と同収量
細野弥一 埼玉県 MOA S48 稲ワラほだ木ヌカ堆肥
吉川成義 滋賀県 MOA 9月上旬稲の間にクローバー播種し年内に鋤きこむ 大豆カラを反2トン散布 有肥と同収量
山本良平 京都府 MOA S24 ワラ散布 7.5俵 有肥と同収量
柿花啓二 兵庫県 S43 自然農法だが販売先は個別 ワラヌカ散布 8.5俵
谷口如典 鳥取県 MOA 雑草対策を兼ねて稲の条間にヨシを反1.5トン被覆 有肥8俵だが自然農法では10俵

・その他の穀作:柳瀬コトヨ 北海道 MOA、秋場寛 北海道 MOA、山崎武雄 北海道 MOA、須田政俊 山形県 MOA、佐藤千代子 福島県 MOA、宮島信男 長野県 MOA、広瀬幸枝 京都府 MOA、衣川俊夫 京都府 MOA
・野菜:茶木アイコ 北海道 MOA、須賀一男 埼玉県 MOA、松岡武夫 埼玉県 MOA。販売先がMOA商事ばかりなので以降省略
有機農法実施集団という項目で有機農法の農家が紹介されている。動物糞を使った堆肥を使用した有機農法である。

 福岡正信氏や川口由一氏のような肥料を必要としない考え方の農家は、とりあげられていないようだが、斜めにしか読んでいないのではっきりとは分からない。。
[2010.3記]

雑草が大地を救い食べものを育てる

雑草が大地を救い食べものを育てる片野 學 著、2010年発行
 岡田茂吉氏の考え方で、"土の偉力"、"排毒思想"などによって自然農法を説明している。著者は、東海大学農学部教授とのことだが、論理的・科学的な説明ではないと感じた。たとえば、次のように私には理解しがたい内容もあった。
・原生林など自然生態系の土には雑草が生えない。"土が生きている"と雑草の種子を蒔いても生えない、存在しないという現実がある。
・マクロビオティックの人たちの実験では、不健康な人は蚊に刺されやすい。蚊というものは、じつは汚れた血しかすいません。ウンカにやられるイネも同じで、イネの体液は汚れているのです。逆にいうと、蚊に刺されたら蚊に感謝しなければならないのです。なぜなら、蚊は私たちの病んだ血を吸ってくれたからです。
・自然農法産農産物が芳香を発する美味な農産物であり、自然治癒力向上に貢献し、健康維持増進や病人をも改善・治癒させる農産物でもあるからでしょう(p.41)

ニンジンの奇跡 - 畑で学んだ病気にならない生き方

赤峰勝人、2009年発行
赤峰勝人氏は、無農薬・無化学肥料の循環農法の提唱者。本書は、「ニンジンから宇宙へ」から13年後の著書であるが、前書と似た構成・内容である。

 科学的な表現でたくさんのことが書いてあるが、その根拠がほとんど示されていないために、理系の私にとってはいちいち確かめたくなるので、非常に読みにくい。
 たとえば、本文2枚目には「スギナは、自分の体内に七十パーセントものカルシウムを蓄えることができます(p.22)」とあるが、70%ものカルシウムなんてサンゴじゃあるまいし、植物ではあり得ないだろうと疑問に感じて調べると、株式会社ナチュラルライフが販売しているスギナ粉末では、100g中1740mgだというから、1.7%だ。カルシウム1.7%でもほうれん草の150倍も含まれているというから、スギナにカルシウムが多いということは事実なのであろうが、70%なんて論外であろう。「スギナを食べると、結核が治るというのも理解できます。アトピー性皮膚炎なども、ぐんぐん良くなっていきます(p.23)」とあるが、結核は、特効薬の抗生物質ストレプトマイシンが発見されたのは1944年であり、それまで日本では国民病・亡国病、死の病と呼ばれ、様々な民間療法が試されたのに、「スギナで治る」と断言できるはずはない。結核の死亡者は2004年になっても世界中で160万人もいるという(wikipedia)。このように最初の2,3ページで疑問噴出であり、以降は斜め読みをした。終わりのほうに、再度、結核についての言及しており「肺結核という病気があります。結核菌が伝染して肺結核になるというのが定説ですが、カルシウム欠乏のため肺の細胞膜が破れて死んでしまったのです。そこへ死んだ細胞を食べるために、菌が自然発生します。医学は菌がついたから病気になったと決め込んでいますが、逆です。(p.143)」とあるが、あまりに非科学的な考え方ではなかろうか。他にも疑問に感じることがたくさんあった。
 「人間も植物も虫も水も光も、宇宙のすべてがつながり、すべてが循環している。宇宙の中で、循環していないものはすべて間違っている」と考える著者の様々な主張が書かれている。循環農法については、本書には詳細に書かれていなかったが、「循環農法の定義とは」という項目があり、「循環農法は人間の人智が及ばない自然の真理や法則にしたがって、作物が育つ手伝いをする農法です。たんに堆肥を使う農法ではありません。(p.147)」とある。堆肥は、草や豚糞、人糞を使う(作物を1トン収穫したら、1トンの完熟たい肥を入れる)。農薬・化学肥料は使わない。12,3年前から突然害虫に襲われるようになり、原因が酸性雨と分かり、対策として木灰で酸性になった土を中和している(p.161)。「ハコベやナズナが1メートル以上も育つようになれば、理想の土の完成(p.140)」だそうだが、ハコベ(コハコベ)は10-30cm程度、ナズナは20-40cm程度が通常の大きさであるので、過剰な栄養状態の土を理想にしていると感じる。
[2009/12記]
2010.10.07 Thursday | その他 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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