週末ファーマーによる自然農の野菜栽培

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自然農の野菜づくり

第1章 生命の営みをつなぐ自然農の要諦(畑の準備をする、野菜を切らさない作付けの工夫 ほか)
第2章 自然農の野菜・つくり方のポイント
第3章 自然農の野菜などの加工・保存の工夫


自然農・栽培の手引き
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 川口由一氏の提唱する"自然農"を理想として、耕起せず、肥料はやらず、雑草は抜かず、害虫をも防除しない(化学農薬も自然農薬も不使用)で、野菜を育てることを目指しています。多種類の豊富な動植物と共存する生物多様性を実現する家庭菜園にするべく、群馬県西部で週末に農作業をしています。ビニールのマルチやトンネルなどの非再生資材は使わず、農業機械も使わずエコロジーです。ただ、地力不足なので、有機質肥料を少し与えることもあります。


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ジャガイモの栽培
 自然農に向いたジャガイモの品種は、花標津(はなしべつ)と「さやあかね」で、疫病に対して抵抗性が強く無防除栽培が可能である。さやあかねは、花標津よりも収量が多く、イモも大きい。ナス科のジャガイモは、連作できないので、2〜3年は避ける。地上部がまだ青々していても、高温だとイモが肥大しないので、ここ群馬では7月上旬までに収穫する。

用語:
 萌芽とは、ジャガイモの窪んだところから芽が出てくること。出芽とは、芽が地表に出ること。
 浴光催芽(浴光育芽)とは、直射日光に当て強い芽を出させること。

→(参考)秋ジャガイモの栽培

ジャガイモの品種


無農薬栽培が可能な品種
・さやあかね:花標津と同様に無防除栽培が可能だが、花標津より収量多く、イモも大きい。
・花標津(ハナシベツ):疫病に対して抵抗性が強く無防除栽培が可能。
花標津

家の近く(群馬県西部)で売られていたジャガイモの品種
・男爵:休眠は96日で中。
・十勝こがね:休眠は約144日で極長、貯蔵性が良い。煮物やフライにも適する。
・シンシア:休眠は長く、貯蔵性が良い。目が浅く、むきやすい。
・インカのめざめ:栗のような風味。収量は少なく、イモは小さい。休眠期間は30日未満のため冷蔵庫で保存する必要がある。
・トヨシロ:油加工に向き、豊産。休眠は男爵より長い。
・キタアカリ:早生。粉質で肉色は淡黄。男爵より多収。休眠期間は男爵より短い。
・ベニアカリ:赤皮・白肉。高いデンプンで、コロッケ・サラダ向け。煮くずれが多く、煮物には適さない
・ホッカイコガネ:フレンチフライ向きだが、メークインより煮崩れないので煮物にもいい。

近くで売られていた秋作にも使えるジャガイモの品種
・アンデス赤:皮が赤く、肉色が鮮黄色で食味も良い。休眠期間は、デジマと同程度。
・出島(デジマ):秋栽培でよく使われる品種。イモは黄白で、やや粉質。
・西豊:根茎腐敗病等に抵抗性がある。イモは、淡い黄色で、やや粘質。
(以下ジャパンポテトの導入品種)
・シェリー:皮は赤く、形は長楕円形で大きく育てるとサツマイモのようになる。身は煮崩れはない。エキ病に弱い。フランスで育成。
・チェルシー:形は丸くやや小さいが、収量は多い。でん粉価が高くホクホクしている。実は白い。フランスで育成。
・ドロシー:フレンチフライ向け品種。収量が多い。でん粉価は高い。エキ病に弱い。フランスで育成。
・コロール:形は洋梨形、身は淡い黄色、やや粘質、甘みがある。

種イモの1kgあたりの価格(近所のホームセンター 2010年春植え用)
カ店:男爵 220円、メークイン 240円、北あかり 278円、豊しろ 398円、アンデスレッド 498円、インカのめざめ 598円
コ店:シンシア 596円、べにあかり 432円、十勝こがね 432円、北海こがね 432円、とうや 432円、

ジャガイモの育て方


ジャガイモのキュアリング
 キュアリングは、傷口をコルク化させ、腐敗を防ぐ目的で行われる。キュアリングの日数は、2,3日〜1週間程度で良いようだ。「ジャガイモのキュアリング処理, 北海道大学 農産物加工工学研究室 横江未央, 2001」によれば、「湿度50-90%では、湿度によってコルク層の形成される厚さは、ほとんど差はなく、湿度が高いほど傷口からの水分蒸発が抑えられる。コルク層の厚さは7日目以降ほとんど変化しなかった。
 ジャガイモの切断面に草木灰を塗ると、キュアリングが遅れるので、灰は塗らない。なお、近所のホームセンターでは「病気を防ぐ為に、切り口に草木灰をまぶす」と書いてあった[2010年]。日光に当てて乾燥させるのは種イモが弱る。

植付
自然農ジャガイモの植え付け 植えつける時には、種イモは必ず萌芽しているのを確認すること。自然農では、植える場所だけ穴を掘る。深さ10〜15cm程度の穴に、全粒イモ(丸のままのイモ)は頂芽が上に、切断イモは切断面を下にして、種イモを置き、土を被せる。土の厚さは、5cm程度でよく、厚くすると出芽が遅れる。株間30cm、条間40-50cmとする。植付後、3〜4週間で出芽する。

ジャガイモ遅霜被害遅霜にあうと新芽は枯れるが、再び芽を出す。しかし、生育は遅れ、収量も低下する。写真は、この日の朝の霜で葉がしおれて黒っぽくなった状態[2010/4/25]

芽かき
 草丈10cmくらいになったら、株元を手で押さえながら、2〜3本残して芽をかきとる。2本残す人が多いようだ(株間が広い時は2本〜数本でもいいようだ)。丁寧に抜いた芽は、欠株になったところに植えてもいいようだ。
 芽を少なくすると、大きなイモとなるが、数が少なくなる
 芽を多く残すと、小さなイモとなるが、数が多くなる

培土
 植え付けが終了した時点で、窪んだ状態であり、地表面まで5〜10僂侶蠅砲覆辰討い襪里如⊇于蠍紕浬鬼屬泙任法△任れば早め7〜10日後に培土を行う。培土によって、窪みに水が溜まるのを防ぐ意味もある。出芽後、約3週間で、つぼみができ(着蕾期)からイモの肥大が始まる。新しいイモは、種イモの上部の地下茎から横に出た側枝(ストロン)の先にできるので、培土をする必要があり、草丈が20cmほどになったら厚さ15cm(少なくとも10cm)になるように土を寄せる。また、覆土を厚くすることにより、気温が30度を超えるような時でも、イモの肥大に適した地温にすることができる。
 慣行栽培法では、必ず培土をするが、自然農では、ジャガイモの株元に厚く草を敷くという方法もあるし、緑イモができてしまった場合は種イモにしてしまうこともできる。
 なお、慣行栽培では、土寄せと一緒に追肥を行う。自然農で、地力が足りないと思われる場合には、土寄せの時に油粕、米ぬか等を施せばいいと思う。

高温期のコブ
 生育中の高温(夜温25℃以上、乾燥)で、ホルモンのバランスがくずれ、内生休眠が明けた状態になり、その後、雨が降ると生育が再開するため、形が細長くなったり、こぶができたりする。

ジャガイモの内生休眠
 イモが完熟している場合、およそ60〜140日程度。キタアカリの休眠期間は男爵より短い中。男爵で90日、紅丸やメークインは60日程度。インカのめざめの休眠期間は、30日未満とごく短くて保管に苦労する。アンデスレッドは、デジマと同程度に短い。
 内生休眠の期間は、外部の環境には、あまり影響されないようだ。

ジャガイモの保存
 ジャガイモは萌芽すると、養分を消費して品質が低下するし、エグ味が増えて食味も低下する。そのため、低温貯蔵される場合が多いが、その他の方法もある。
 私の場合は、冷蔵庫に保管スペースがないので、室温で段ボールに入れて保管し、萌芽した芽をこまめに摘んでいる。萌芽が始まると、芽を摘んでいても、品質は徐々に低下し、外観も悪くなるものの、翌年の春になっても全く食べられないというわけではない。

・低温貯蔵
 一般的には、萌芽や脱水を抑えるため、温度は2〜4℃、湿度80%以上で貯蔵するのが望ましいと言われているが、低温で長期貯蔵すると、デンプンが還元糖に変化して、還元糖の量が増え、甘くなる。そのため、高温で調理するじゃがいもを長期貯蔵する場合には6〜8℃以上での保存が適しているが、鮮度が落ちやすくなる(参1)。
 一般の冷蔵庫は、4〜5℃であり、外生休眠を起こすには温度が高く、長期間の保存は向いていない(参2)。

参考)1.農林水産省
2.千葉大学園芸学部「まちの緑の園芸相談」今年収穫したジャガイモからもう芽が出てきました。芽が出にくいような良い保存方法はありませんでしょうか?

・ジャガイモへの放射線照射
 発芽抑制を目的として1975年から北海道の士幌町農業協同組合が開始したのみである(wikipediaより)。そのため、北海道士幌町産以外のものはガンマ線照射はされていないようである。ジャガイモへの放射線照射は、長年の世界での研究によって、放射線による毒性はなく、動物実験でも確かめられているという。

・熱水処理
 本方法は、特許出願(ジャガイモの保存方法)されている。概要は、「ジャガイモの表層(表皮)部を60℃ないし100℃の熱水と、7秒ないし100秒間接触させることにより萌芽抑制処理した後、そのジャガイモを室温で貯蔵する」。

収穫
 茎や葉が黄色くなってきたら収穫適期で、天気が良く土が乾燥している時に掘ると良い。
春ジャガイモの秋収穫 私の肥料を施さない栽培では、7月中に収穫せず、梅雨が明け、夏を越して、秋に収穫しても腐るジャガイモは少ないようである。ただし、土中の虫(コガネムシ幼虫やケラなど)に食害されることがある。なお、肥料が効いて大きくなったジャガイモは、夏の高温のために、黒色心腐という生理障害を起こしイモの中心部が黒色に変色するので、早めに収穫すべきであろう。
 写真は、9月下旬に収穫したジャガイモで、食害の穴はあっても腐ってはいない。


種イモ
 馬鈴薯(ジャガイモ)は、種苗(種イモ)の健全性が収穫に大きく影響を及ぼす作物であり、日本では植物防疫法の指定種苗となっている。そのため、種芋の売買は規制され、植物防疫所の検査に合格した種子用のみが販売されている。ただし、未検査であっても、自家栽培用に利用することは、規制されていない。植物防疫検査では、ジャガイモシストセンチュウ及びジャガイモガの2種類の害虫と馬鈴しょウイルス、輪腐病菌、青枯病菌、そうか病菌、粉状そうか病菌、黒あざ病菌及び疫病菌の7種類の病気が対象になっている。
 種イモの栽培では、病害虫がないようにするために手間がかかる。このため、種イモの価格は、食用のイモよりも高くなる。種イモ栽培では、ウィルス病を媒介するアブラムシを徹底的に防除したり、栽培期間中に1株づつ病気にかかっていないか調べたりするのだ。
 家庭菜園でも、種イモは、市販されているものを使うように勧められる事が多い。たとえば、「ジャガイモは穀類の種と違って水分含有率が高く、線虫、ウイルス、菌類など重要な病害虫が多いため、専門的知識を持った農家が栽培し、植物防疫所の検査に合格した種子用でなければまともな生産を期待できません。つまり、食用ではなく、合格証票のあるものを選択する必要があります。(ジャガイモ博物館より)」。たしかに、ジャガイモ葉巻きウイルスの場合では、軽症株で65%、重症株で92%の減収とされているので、健全な種イモを使うことは重要である。
 しかしながら、種イモ生産に農薬が使われていることに抵抗があったり、種イモの値段の高さに困っていたら、自家栽培したジャガイモを種イモにすることも可能である。それには、前作でジャガイモが病気になっていないことが必要で、特にウィルス病には注意したい。ちなみに、私は数年、自家栽培したイモを種イモにして、ジャガイモを栽培しているが、今のところ、問題はない。JA鳥取いなばによれば、「ジャガイモは、収穫したイモを種イモとして使用できますが、何年も繰り返すと品種特性が低下したり、ウイルス性の病気に感染して生育が悪くなったりします。あまり生育が悪くなったり、できるイモが小さくなってきたら、新しく種イモを購入して、更新していただいたほうがよろしいかと思います。」とのことである。
参考)・ポテトフィールド - 種イモ栽培の概要:種イモの増殖、生産、栽培など非常に詳しく書かれている
種ばれいしょ圃場周辺に存在するウイルス罹病株の感染源としての危険性

2010年 春植えジャガイモの栽培記録


残ったジャガイモを種にする3月20日 昨年に収穫して食べ残したジャガイモ、キタアカリは、2、3回芽を欠いているので弱ってしわしわが増えているのだが、昨年の経験からすれば、出来るイモは小さくなるものの、この状態のイモでも植えつけることが可能なので、40-70グラム程度の丸イモのまま植え付けた。畝8R。不耕起、無施肥。

残りイモ3月22日 親戚がもう食べないというので芽が出ているキタアカリをもらった。農業用コンテナに入れられていたので、少し光が差し込んでいたらしく芽はしっかりとした感じであった。大きさは50-100グラム程度だったので、小さいイモは丸のまま植えつけた。大きめのイモは事前に切っておく必要があるのだが、今日もらったので、植え付ける直前にカマで切るという手抜きをして植え付けた。

4月17日 東京など各地で41年ぶりの積雪ということであり、当地でも2cmほど積もったようであるが、8時頃には雪はほとんど消えて、昼前から春らしい陽気になった。ジャガイモは1割ほどのイモが出芽しており、昼頃、見たときには明らかな凍害は見られなかったが、凍害を受けていると思われる。

ジャガイモ遅い降雪被害4月24日 先週の降雪時に出芽していた部分は、葉先は枯れ、変色していたが、被害は少ないようだ。先週は、1割の出芽だったが、7割が出芽していた。
 しかし、翌朝25日、霜が降りて新芽は枯れてしまった。

ジャガイモ再び新葉5月3日 8日前の遅霜によって葉は枯れたけれども、再び新葉が伸びており、霜の前よりも少し大きいくらいに育っている。葉を食害するニジュウヤホシテントウがいたけれど、全部のジャガイモでまだ2頭しかいない。放置しておいた。
7月3日 収穫。収穫が遅れたが、まだジャガイモの葉が残っていて植えた場所が分かる。霜にやられたためか収量は少ない感じがする。
7月25日 収穫。1週間前に梅雨明け。ジャガイモの葉や茎はなくなり、雑草が茂っているので、どこにジャガイモを植えたかよく分からないから、掘る土の量が多くて、この暑さの中で息が上がった。掘ったジャガイモに傷んでいるものはなかった。
9月26日 忙しくて掘り残していたが、冬野菜を播くために、ジャガイモを収穫した。腐ってはいなかったが、コガネムシ類の幼虫に食べられたらしい跡が、4割くらいのジャガイモにあった。虫に食べられても腐っているわけではなく食害痕はコルク質になっているので、食用にはできる。品種はキタアカリで、芽の出たイモはほとんどなかった。

2009年 春植えジャガイモの栽培記録


3/21 植え付け
 今年は桜の開花がすごく早いらしく、東京は平年より1週間早く、3/21開花。うちの庭のハクモクレンは4,5日前に開花していた。食用にもらったジャガイモなんですが、伸びた芽を何回か取ったりしたようで、皮はしわしわになっているし、真黒になった打撲班らしき部分も多くて、しかもやわらかくなっているという食べるにはどうしようもない状態。仕方がないので、これを種イモにしてみました。植えつけるイモの重さは、50グラムが適切なのですが、状態が悪いので、100グラムに大きく切り分けることにし、2日前に切断し、新聞をかけておいて、いちおうキュアリングしておきました。畝をつくるのが面倒なので、植えつける部分だけ、スコップで穴を掘り、堆肥をひとつまみ入れて、深さ5cm〜10ぐらいにイモを置きました。間隔は50〜60cm、列間は1mくらい、すべて適当にやって、作業は2時間くらい。
4/12 半数くらい出芽(この日は桜吹雪がきれいだった)
4/18 全部出芽(予想より良い)していた。
5/16 他の畑では花が咲いているのに、まだ花が咲いておらず、明らかに成長が遅い。
5/30 葉が茶色くなったりして、不健康そうな感じ。畑に残っていた小芋が自然に発芽したジャガイモは、緑色が濃くて健康そう。
6/6 うちの畑だけ早くも枯れ始めた苗がちらほら。明らかに成長不良で、これほどダメだとは予想しなかった。でも、掘ったら4cmくらいの大きさにはなっていた。
6/13 10本以上掘ったけれど、枯れたような株のイモは、大きくても4,5cmくらいで、2,3cmほどの食べるには小さいイモが多い。
6/20 ほとんどの株が黄色くなったので収穫。イモの大きさは先週より少し大きい感じだが、2,3cmのイモ多い。芽かきをしていないため、4,5本と多いこともあって、余計にイモが小さくなったようだ。
7/4 最後の収穫。2週間前のものより大きく育っていた感じ。腐りが入っているイモが2個あっただけで、思ったより大丈夫だった。地上部は完全に枯れていて、雑草に埋もれており、収穫は大変だった。
7/19 野良イモ(男爵が主)の最後の収穫。大きなイモもたくさんあった。地上部が枯れ始めるまで待っていたら、梅雨が明けていた。また、野良イモは排水に問題があったようだけれど、それでも腐らなかった。過熟した何個かは腐り始めていたけれど、葉が弱り始める前に収穫すれば大丈夫なようだ。
7/26 掘り忘れていた野良イモ(男爵)を掘ったら、イモの大きさは満足できるものであったが、イモの形はほとんどのイモが、でこぼこで、明らかに異常。煮たらイモは水っぽかった。地上部は少し黄色くなりはじめたくらいだったから、デンプンの形成には気温が高すぎるのだろう。


2012.04.24 Tuesday | 野菜栽培 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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