ネキリムシ、コガネムシ幼虫について
ネキリムシ
ネキリムシ(根切虫)は、農作物の根を食害する幼虫たちの総称(俗称)で、代表的なタマナヤガとカブラヤガの他に、オオカブラヤガ、センモンヤガの4種類がいる。コガネムシ類の幼虫もネキリムシと言われることがある。ヤガの幼虫のネキリムシは、3、4齢幼虫になると、昼間は土中に隠れ、夜間に移動して野菜の苗を地際から切断するように食害する。老齢幼虫になると、一晩で数株を加害するので被害が大きい。ネキリムシは移動距離が大きいので、次々と被害にあう。ネキリムシの体はゴムのように弾力があって特徴的である。また、ネキリムシの各体節には黒褐色の小さな点が数個あり、そこから毛が生えているのも特徴である。被害にあった苗の株元や周辺の土を浅く掘ると、丸まった状態のネキリムシを見つけることができる。周囲の土中にいなければ、捜索範囲を広げ、枯草の下も探したほうがよい。
上の左側の写真は、1週間前に定植したキュウリの苗が、葉が少ししおれた状態になっていたので、おかしいと思って葉をめくってみると茎が地際から切断されていた。そこで、株元の土を掘ると、上の右側の写真のように、丸まった状態のネキリムシを発見できた。[2010/6/26]
左の写真は、夜9時に撮影したもの。ネキリムシは、地表に露出していたヒマワリの種から発芽したばかりの葉を、私が見ている前ですごい勢いで食べてしまった。老齢幼虫は大食漢である。[2010/6/17]
写真は体長約40ミリの終齢幼虫で、夜にヒマワリの苗を切り倒して土の中で食べているところを捕獲したもので、3頭捕らえた。でも、翌日の朝に、またひまわりの苗が切り倒されていので、ヒマワリから20cmほどの範囲をくまなく探したら3頭もいた。前日には、見逃していたのか、あるいは近くから移動してきたのか。。。[2010/6/6]
一般的な防止法としては、
・畑の周囲を含めて、除草の徹底。
・播種や定植前に、何度も耕起し、ネキリムシを殺す。
コガネムシ類の幼虫
ハクサイの苗が、葉がそれほどしおれていないのに倒れていたので、苗をつまんでみると根元から切られ、かじられた跡があった。ほんの少し土を掘っただけでコガネムシ類の幼虫が出てきたので、ハクサイの苗を食べている最中だったのだろう。苗の定植後の1週間で2割くらいが切り倒されたようで被害は大きい。思い出せば、白菜の苗を定植する時には、苗が入るだけの穴を掘ったのだが、それでも、コガネムシ類の幼虫が1、2頭いる場所が何か所もあった。少し大きめの穴を掘って、取り除いておけば良かったのだろう。[2009/9/27]ゴボウの幼苗を食害され、根ばかりでなく葉っぱまでもコガネムシ幼虫は食べていた[2009/10/25]
コガネムシ類幼虫の天敵
シオヤアブなどのムシヒキアブ類の幼虫は、土中でコガネムシ類の幼虫を食べる。ムシヒキアブの幼虫は、細長い体で白く、足はなく、ちょっと見ただけでは前後が分からないが、尖った口先がある。
ツチバチ類は、いずれもコガネムシ類の寄生者で、コガネムシ類の幼虫を探知すると、土を掘り進んで土中でコガネムシ類の幼虫に直接産卵するという。
コガネムシ類の幼虫のフン
コガネムシ類の幼虫のフンは、米粒ほどの大きさの黒い固まりで、草を敷いていた場所の地表にたくさんあった。コガネムシなど多くの生き物がいるおかげで、枯れた植物はすみやかに処理され、豊かな畑になる。ただ、コガネムシ幼虫のフンは、固いので、崩れにくい。過去には、遺跡で出土したものは、虫のフンだとは思われずに、米粒状土製品や擬似米と呼ばれて、五穀豊穣や子孫繁栄を願うために、米の代用品として使われたと推測されたこともあった(参考 wikipedia 米粒状土製品)。[2010年10月]
コガネムシの幼虫のトンネル
種の条播きは、草を刈り、20cmくらいの幅で土を露出させてから、種をまく。昨日、小カブを播いた場所を見ると、種を播いたすぐ上の土が盛り上がってトンネル状になっており、土は乾燥して白くなっていた。これは、コガネムシ類の幼虫が通ったトンネルである。写真では、真横に横切るトンネルと斜めに横切るトンネルが写っている。この場所は草が厚く敷いてあったので、コガネムシ類の幼虫にとってはエサが豊富で、種をまく時にたくさんの幼虫を見つけていたのだが、一晩でトンネルをあちこち掘られるとは思っていなかった。種の播く溝は草の根を取り除いているので、幼虫がトンネルを作りやすかったのであろう。[2010年10月]
上の左側が、タマネギ苗床の地表の盛り上がりで、右側が掘ったらコガネムシの幼虫が出てきたところ。地表が盛り上がったところをいくつか掘ったけれども、コガネムシが出てきたのは1ヵ所だけ。ミミズのフンみたいな土の塊もあったから、コガネムシ幼虫だけでなく、ミミズかもしれない。[2009年10月]
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