週末ファーマーによる自然農の野菜栽培

最近の記事
このページの記事
記事の分類
本の紹介

自然農の野菜づくり

第1章 生命の営みをつなぐ自然農の要諦(畑の準備をする、野菜を切らさない作付けの工夫 ほか)
第2章 自然農の野菜・つくり方のポイント
第3章 自然農の野菜などの加工・保存の工夫


自然農・栽培の手引き
最近のコメント
リンク
自己紹介
その他
QLOOKアクセス解析
 川口由一氏の提唱する"自然農"を理想として、耕起せず、肥料はやらず、雑草は抜かず、害虫をも防除しない(化学農薬も自然農薬も不使用)で、野菜を育てることを目指しています。多種類の豊富な動植物と共存する生物多様性を実現する家庭菜園にするべく、群馬県西部で週末に農作業をしています。ビニールのマルチやトンネルなどの非再生資材は使わず、農業機械も使わずエコロジーです。ただ、地力不足なので、有機質肥料を少し与えることもあります。


前の記事 : << 「自家採種入門 - 生命力の強いタネを育てる」を読んで
次の記事 : 「いのちの種を未来に」を読んで >>
「岩崎さんちの種子採り家庭菜園」を読んで
岩崎さんちの種子採り家庭菜園
岩崎 政利 著、2004年

著者の岩崎政利さんは、長崎県雲仙市(旧高来郡吾妻町)で水田14アールと畑2ヘクタールを家族で経営する農家で、25年前から有機農業を行い、50種類以上で自家採種しているという。栽培方法は、自然農法(不耕起で少肥、除草はきれいにしているようだ)。長崎県は、暖地なので、寒冷地で越冬させる場合のコツなどは書かれていない。

本書の題に「家庭菜園」という言葉が含まれているが、「岩崎さんちは農家」だし、それに家庭菜園を意識した自家採種という内容でもなく、家庭菜園という言葉を入れたのは専門用語が少ないので非農家の人にも読みやすいということだろう。写真やイラストが豊富で、デザインもおしゃれなので一般の女性には受けがいいだろうとは感じる。エッセイ的な記事も多いので、書題は「岩崎さんちの種子採り物語」くらいが適当なのではと思ってしまった。自家採種の参考書とするよりは、岩崎さんの野菜への愛情があふれたエッセイとして読むとおもしろい。
「少々の交雑があっても、育った後で自分で選抜すればよいこと」という著者のスタンスなので、交雑についてはあまり気にしていないようだ。小松菜の花畑の中に源助ダイコンが混じって咲いていて、その源助ダイコンの種を播いても小松菜は混じっていなかった。花の色が違うと交雑しないということが分かってきた(p.28)とあるが、花の色だけで交雑の判断をして大丈夫なのだろうか?本書はあまり専門用語を交えた説明をしていないが、「ダイコンはアブラナ科ダイコン属であり、アブラナ属のコマツナとは交雑しない」という文章があっても良さそうなのに。

紅芯ダイコンは、外見から中の色が分からないので、横のほうを切断して、色を確認してから定植する。切断しても、数日おいて切断面が乾いてからの定植なら大丈夫だという。

F1交配種からの固定種の作り方というか苦労話は興味深かった。4年かけてもさまよっているブロッコリー、2年間種子採りしようとしてもできなかったニンジン、5年目で安定してきた青首ダイコンなど。F1では4,5年以上はかかるので気長にということだ。

採集用の野菜には無肥料に近いほうがいいという。以前にたくさんの有機物を肥料として与えたら、大きくなったけれども害虫が発生したり、種子を食べる虫が発生したりして種が採れなかったことや、種子が採れても発芽力が弱くなったということだ。

母本数
 近交弱勢を避けるために、見栄えだけで選ぶのではなく、元気なダイコンを何本か混ぜておく(p.48)とあるが、自家採種では何本くらいにすればいいのか、それに面積が限られた家庭菜園では切実な問題だろう。岩崎さんの農家としての経験談は参考になるのだけれども、本のタイトルに「家庭菜園」と付けているのだから、配慮がほしい。ニンジンは何十本も母本にしている(p.59)、50本近くの種子採り用のダイコン(p.116)というが、岩崎さんは農家だからそれほどの数が必要なのでしょうが、家庭菜園では非常に難しいのではないだろうか。。。

時間的な経過の問題?
 「アブラナ科の菜もの野菜は黄色い花が多く、ダイコン類は白い花が多いのですが、今年は赤紫色をした女山三月(おんなやまさんがつ)ダイコンの花がどんな色なのか楽しみです(p.24)」と書かれているので、女山三月ダイコンの自家採種はしていないのかと思って読み進んでいたら、女山三月ダイコンも自家採種しているという(p.118)。
 青首ダイコンは種子を採りはじめて今年で5年目(p.18)とあるが、「種子採りを続けて、もう6年がたちました(p.116)とある。
 たぶん、取材を1,2年しているうちに年数が経過したのではないだろうか。

伝統野菜や作りやすい品種が多数紹介されていて非常に参考になった
・福立菜:コマツナに近いツケナの一種。コマツナより見栄えは良くないが、大きくなってもやわらかくおいしい。
・カリフラワー・ロマネスコ:渦巻き模様の花蕾がおもしろい
・豊葉ホウレンソウ:日本種で葉の切れ込みが深い。味が良い。
・源助ダイコン:コンパクトな大きさで、耐寒性がある
・女山三月ダイコン:根や葉が赤紫色
・金町小カブ:とう立ちが遅く作りやすい。みやま小カブはたいへんおいしいがとう立ちが金町より少し早い
・黒田五寸ニンジン:吸い込み性で根の色がきれい
・アロイトマト:自家採種で4年が過ぎてからおいしくなった
・キュウリ:自然農法センターの品種
・青ナス:自然農法センターの品種
・伏見甘長トウガラシ:さやが大きい、辛味がでない。
・八丈オクラ:背丈2メートルにもなるが、実は大きくなってもやわらかい。
・打木赤皮栗(うつぎあかがわくり)カボチャ:育てやすい。西洋カボチャだけれどもねっとりとした食感
・マクワウリ:ニューメロンは甘いが腐りやすい、トラ皮メロンは甘味はいまいちだが作りやすい
・江戸川インゲン:筋なしでおおさやでおいしいが、見栄えが悪い。育てやすい
・スイートコーン:自然農法センターの品種

なお、本書は、ライターの里内藍氏とカメラマンの関戸勇氏が長いこと現地に出向いて協力したようだ。また、関戸勇氏と岩崎政利氏とは、「つくる、たべる、昔野菜」を出版している。

[Jan.2010記]

自家採種・伝統野菜関係の本の紹介

JUGEMテーマ:自家採種・種とり
2010.01.08 Friday | その他 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
 

この記事のトラックバックURL http://naturefarm.iti5.net/trackback/84
トラックバック