週末ファーマーによる自然農の野菜栽培

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自然農の野菜づくり

第1章 生命の営みをつなぐ自然農の要諦(畑の準備をする、野菜を切らさない作付けの工夫 ほか)
第2章 自然農の野菜・つくり方のポイント
第3章 自然農の野菜などの加工・保存の工夫


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 川口由一氏の提唱する"自然農"を理想として、耕起せず、肥料はやらず、雑草は抜かず、害虫をも防除しない(化学農薬も自然農薬も不使用)で、野菜を育てることを目指しています。多種類の豊富な動植物と共存する生物多様性を実現する家庭菜園にするべく、群馬県西部で週末に農作業をしています。ビニールのマルチやトンネルなどの非再生資材は使わず、農業機械も使わずエコロジーです。ただ、地力不足なので、有機質肥料を少し与えることもあります。


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食用ヒマワリの育て方
食用ヒマワリの種 ヒマワリは、用途別に、油糧用、食品用、観賞用に分けられ、用途に適した品種を選ぶ必要がある。油糧用は、含油率は高いが殻が剥きにくく食品用にはあまり向かない。
 ヒマワリの原産地は、アメリカ合衆国であり、先住民は紀元前3000年には栽培していたそうである。19世紀に正教会では、ほとんど全ての油脂食品を禁止していたが、ヒマワリは禁止されていなかったので、ロシアではヒマワリが常食され、現在ではロシアが世界一の食用ヒマワリ生産国になっている。

ヒマワリの種の成分
 油糧用のヒマワリでは、オレイン酸の含有量が多い「中オレインタイプ」が主流になっている。平山ら(*2)によれば、福島県内で主に栽培されている3品種の脂肪酸組成を調べたところ、従来のハイリノール種が「ハイブリッドサンフラワー」、「IS6767」であり、近年の中オレイン酸品種が「春りん蔵」であった。春りん蔵では、5月上旬に播種したものがオレイン酸含有率が最も高く、播種時期が遅くなるほど減少する。また、施肥量は、脂肪酸組成には影響しないという。
 wikipedeiaによれば「1990年代までリノール酸が70-80%、オレイン酸が10-20%のハイリノールタイプが主流であったがω-6系列の脂肪酸であるリノール酸の発ガンや高脂血症、アレルギー等との因果関係が報告されるにいたり、リノール酸が15 - 20%、オレイン酸が40 - 60%の中オレインタイプのNuSun品種が伝統的な交配育種法により育成され、2000年以降は主流となっている」と表記されてリノール酸の害を指摘しているが、これは過剰摂取によるものである。リノール酸は必須脂肪酸であり、人間の体内で合成できないため、ISSFALでは「リノール酸の1日あたりの適正な摂取量は全カロリーの2%(4-5g)」としている。ただし、日本人のリノール酸摂取量は、平均して13-15g/日であり、過剰にω-6脂肪酸を摂取している状況である。

生育温度・開花日長
 「ひまわりは本来20℃以上を生育適温とする高温性作物ですが、低温にも強く5〜10℃程度でも生育自体は可能です。しかし、低温では到花日数が延び奇形花の発生が懸念されますので最低15℃を確保します」(*4)
 群馬県前橋では、旬ごとの最低気温の平年値が15℃以上であるのは、10月中旬までである。

開花生理
 「ヒマワリは、相対的長日性植物だが、品種改良により現在では相対的短日性や中性を示す品種もある。相対的長日性を示す品種は、夏場の長日期作型に適し、相対的短日性を示す品種は、冬場の短日期作型に適する。しかし、日長感応はあくまでも相対的なもので一定の栄養生長を経過すれば花芽誘導が行われる。そのため、短日性品種でも、基本栄養生長期間が長日性品種より短いものがあり、そのような品種は夏場の長日条件下での栽培に十分対応できる」(*5) 相対的短日性や中性の品種は、切花用に開発されたようである。相対的長日性の品種は、は種後、長日条件下で約60日、短日条件下で約80日で開花する。

栽培期間
 ヒマワリの生育期間は、平均気温によって左右されるが、約90日間であり、播種から花芽視認までが約30日、開花(筒状花開花)までが30日、成熟期が30日である。収量・千粒重はいろいろな要因に影響されるが、開花後の成熟期では、平均気温が20℃以下で最大となる(Chimentiら,2001)。

ヒマワリの生育ステージ(Schneiter とMillerによる。R3以前は省略した)
R4 舌状花視認
R5 筒状花開花
R6 舌状化萎凋
R7 花床後部が淡い黄色になり始める
R8 花床後部は黄色、苞(ほう)は緑のまま
R9 苞が黄色、または茶色になる

種まき
「種まき時は、人差し指の第1関節程度(約2センチ)の穴をあけ、そこに1〜2粒まき(2粒まきの場合は後で1本に間引きます)します(*6)」。また、川砂に種を埋めた実験では、深さ30mmまでは発芽率に差はない(*7)。とのことであるので、畑の土質や乾燥状況に合わせて、深さ1cm〜3cm程度に埋めれば良いと思われる。なお、ヒマワリの種は大きいので、水平に埋めると、土が固く締まるような土質では、発芽しにくくなる場合も考えられるので、種を先が尖った方を下にして土に押しこむように埋める方法もある。

収穫
 開花後30日〜50日、苞(ほう:花の外側にある尖った三角形の部分)が黄色または茶色になったら収穫する。収穫は、花の後ろで切り、花托ごと持ち帰って、日に当てて乾燥させる。花托ごと乾燥させるのは、収穫直後は種を取り出しにくいので、乾燥させて種を取り出しやすくするためである。花托から取り出した種は、さらに日に当てて乾燥させる。
 なお、油糧用ヒマワリ「春りん蔵」を5月上旬に播種した場合、成熟は開花後51日であるが、子実の千粒重は成熟15日前、含油率は10日前に成熟期のものと同等となっており、ヒマワリの子実は成熟期の10日前には完成していたという(*8)。

食用ヒマワリの食べ方
 種を、茹でたり炒ったりする。また、発芽させたもの(スプラウト)は、茎が太くても柔らかくて、欧米では人気がある。
 炒り方は、数分フライパンで炒るだけ。好みで、塩水に浸してから炒る。
・口の中に一度に数個入れて、口の中で一つづつ前歯や下を使って殻をむいて、中身を食べて、殻を吐き出す。
・種をひとつ親指と人差し指で挟んで、種を縦にして、前歯で軽く噛んで割れ目を入れてから、指でちょっとひねるようにして殻をずらして、中身を取り出す。器用な人は、口の中に入れたままで、中身を舌先を使って取り出すことができる。
参考資料
1.wikipedia ヒマワリ 2012年6月閲覧
2.平山孝ら, 2008, 油糧用ヒマワリの栽培と脂肪酸組成
3.松崎守夫,油糧作物としてのひまわりについて
4.タキイ種苗、花前線
5.青森県農林水産部農産園芸課、花き栽培の手引き ひまわり
6.JA京都 ヒマワリの栽培について
7.藤田薫, 1996, ヤマガラが好む貯食場所の環境
8.コンバインを用いたヒマワリの早期収穫
9.ひまわりの収穫マニュアル 千葉県環境財団 環境活動支援チーム

食用ヒマワリの種 EDIBLE SUNFLOWER
モンゴリアンジャイアント(MONGOLIAN GIANT)
 世界で最も大きなヒマワリのひとつ。草丈14フィート(4.2m)、花の直径は18インチ(45cm)にもなる。

日本の会社が販売しているものは、
・藤田種子 食用ヒマワリ モンゴリアンジャイアント
・藤田種子 食用ヒマワリ ミックス:枝咲き。枝咲きのヒマワリだが、たまに1本咲きの花も着くことがあり、そのときの直径は30cm以上にもなる。
・トキタ種苗 超大輪ヒマワリ:鑑賞および食用を目的として改良された大輪系の品種。葉の大きさも50cm近く、草丈も3mを越える場合もある。
・サカタのタネ 食用ヒマワリ:一輪咲き

コメント
 某大手の食用ヒマワリについて、その「食用」としての特徴が分からなかったので、電話で質問したところ、担当者は「出荷元が食用と表示しているので、こちらも食用と表示しているが、詳しいことは分からない」とのことでした。私は、収穫量が多いとか、味が良いとか、オレイン酸が多いとか、「食用」としているからには、それなりの理由があるのだろうと思っていただけに、その答えに納得できず、それでは、出荷元に確認したいからと連絡先を尋ねたら、それも教えられないと言われてしまいました。担当者は、「よくロシアひまわりより、種が小さかったという苦情の電話が来るが、こちらとしてはそのような表示していないので。。。」と言っていましたが、まあ、大手の会社でもそんなものかもしれません。(2012年7月に電話した)

食用ヒマワリの栽培

2012年 体験記
種:サカタのタネ 食用ヒマワリ SUN FLOWER 見て豪華 食べておいしい
【特徴】鮮やかな黄色、直径約30cmの巨大な花を一輪、草丈2m以上の先端に咲かせます。花は豪華で、タネは大きく、十分に熟したタネは炒ったり塩ゆでにして食べることができます。
【タネまき】発芽と初期生育に高温が必要で葉桜のころからが適期です。花壇への直まきでは40〜50cmの間隔に2〜3粒ずつ、約1cmの深さにタネどうしが触れないようにまいて、発芽したら1本に間引きます。
【栽培のポイント】ポットまきは日当たりと風とおしのよい場所でしっかりと苗を育て、根が底に回ったころ、1m2当たり完熟堆肥を3〜5kg施した日当たりと水はけのよい場所に、株間約40〜50cmで植えつけます。とても大きく生育するので丈夫な支柱を立てて倒れないように注意します。
【温暖地】まきどき4月下旬〜6月下旬 開花期7月中旬〜9月下旬
【発芽までの日数】5〜7日 発芽適温(地温)20〜25℃ 生育適温20〜30℃
生産地チリ、数量15粒、発芽率75%以上 種子消毒なし 購入価格税込283円
食用ヒマワリの種2012/5/5 8粒播く 上の写真は、購入した種。
5/23 8粒播いたうち、6粒が育っていた。2粒を追加して播く
食用ヒマワリ201207147/14 既に開花しており、播種から70日後で、草丈は、1.5mほどであった。5月23日に追加で播いたものは、まだ直径2,3cmの蕾であった。


・8月12日 収穫。花托の裏が黄色くなってきたので収穫した。包葉はまだ緑色が残っている感じであったが、カビが生えるのが嫌なので早めに収穫してしまったのだが、きちんと中身が充実しているものは少なかった感じであった。鳥による食害は、5株全体で2,3粒だけだった。収穫した花托の直径は、10,11,12,13,16cm。
2012.09.12 Wednesday | 野菜栽培 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
種屋さん(販売店)を通じて問い合わせたら、もしかしたら回答が得られるかもという気もします。種メーカー(といっても仕入れて売ってるのが大半でしょうが)の一般向けの問い合わせ担当者より、専門の種屋さんやそこからの問い合わせルートの方が詳しそうです。自分は太田種苗とかたまに利用しますし、野口種苗の野口さんとかもいかがでしょうか。
| H2 | 2012/07/14 9:51 AM |
コメントありがとうございます。
そうですね、有力な販売店を通したほうが、詳しく答えてくれそうですね。
まあ、市販の種の種類が少ないなので、草丈とか咲き方を考えると、詳しく分からなくても、この種でいいかなという気がしています。
| 管理人のひで | 2012/07/15 9:28 AM |
 

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